翡翠のような水の流れと新緑の葉が美しい!群馬県にある国の名勝「吾妻渓谷」を散策する
はい、皆さんこんにちは。日常生活が楽しくなる情報をお伝えすることを心がけている、旅する写真家のいんたらくとです。
国の名勝 吾妻渓谷

今回は国の名勝に指定されている吾妻渓谷を訪れてみました。吾妻渓谷は群馬県の西部にある吾妻川の上流にある渓谷で、1935年に国の名勝として指定されました。八ッ場ダム建設に伴い水没してしまう計画もあった部分もあるようですが、ダムが全体的により上流側に建設されることとなったため、ダム建設後の現在でも美しい景観を残しています。
猿橋


猿橋は江戸時代に掛けられていたという橋を参考に作られた片刎橋(かたはねばし)です。江戸時代に掛けられていた橋は木造だったそうですが、現在は鉄鋼製となっているので強度も抜群となっています。近代の建設技術ではより高度な橋をかけることができるようになったため、近代建築で刎橋という構造が採用されることはとても珍しくなっているそうです。




猿橋から八ッ場ダムに掛けてハイキングコースが整備されています。以前に訪れた際には猿橋からハイキングコースに入ったのですが、今回はもう少し上流の入口からハイキングコースに入ろうかなと思います。猿橋の横にある道路を通ってもう少し上流にあるハイキングコースの入口を目指して進みました。
日本一短いJRトンネル

途中には『樽沢トンネル』というトンネルがあります。樽沢トンネルは吾妻線の旧線にあるトンネルです。長さ約7.2mという日本にある鉄道トンネルの中では最も短いトンネルとして知られていました。八ッ場ダム建設に伴い線路の付替え工事が行われたため、鉄道トンネルとしての役目は終えています。ちなみに、吾妻峡レールバイク アガッタンという自転車型トロッコで線路を進むアトラクションに参加すると樽沢トンネルを通ることができます。
吾妻峡ハイキングコース

吾妻峡の看板が建てられていました。昔はこの場所を多くの車が行き来していたようですが、現在では道路も新しい道に付け替えられているので関係者用の車しか通りません。この看板を見るのはハイキングしている人限定です。




鹿飛橋からハイキングコースに入り紅葉台橋へと抜ける短縮コースでハイキングをすることにしました。ハイキングコースとしてはもう少し長いのですが、鹿飛橋~紅葉台橋は一方行に通り抜けることができて移動に無駄がありません。未舗装ながらも遊歩道として整備されており、所要時間は約20分、約850mほどのショートハイキングをすることが出来ます。本格的にハイキングするとなると大変ですが約20分程度なら割と多くの人が楽しめるのかなと思います。



新緑の季節である4月~6月に晴れた日には葉っぱの緑と透き通った青い川の水がとっても映える景観を見ることが出来ます。ハイキングコースは吾妻川に並行して進むようになっており、ところどころ見所に展望スポットが設けられています。


気楽にハイキングすることが出来るのですが、あくまでも未舗装の遊歩道となっているので、歩きやすい靴を履いてくるのが良いかなと思います。部分的にアップダウンがあるので自力で歩くことが出来る方であれば問題ありませんが、補助が必要な場合は控えたほうが良いかもしれません。また、前日の天候によっては地面が濡れていて泥濘んでいる事があるので、汚れても良い格好で訪れると安心です。


デッキが整備されている所は吾妻川へせり出すように景色を楽しむことが出来ます。デッキが設置されている場所は特に景色が良い場所となっているので、景色を満喫したいならもれなくデッキで足を止めるのがおすすめです。





鮮やかな緑と青という美しい景色が見られるのもこの時期限定となっているようです。季節ごとに良さはありますが、4月~6月の新緑の季節というのは自然散策にはとってもぴったりな時期となっています。
連休限定の吾妻渓谷シャトルバス

連休に合わせて吾妻渓谷シャトルバスも運行されています。通常時には運行されていないのですが、ゴールデンウィークなど多くの観光客が訪れる日に合わせて期間限定で最寄りの駅から八ッ場ダムに掛けてシャトルバスが運行しているようです。乗車は大人300円、子ども100円です。
八ッ場ダムからの景観



八ッ場ダムの敷地から下流にある吾妻渓谷を眺めてみました。八ッ場ダムから見えるこの景色は当初の計画案では水没して見られなくなってしまう予定でした。ダムそのものがより上流へと移動したことによって美しい景観が守られました。
八ッ場ダム



ようやくゴール地点の八ッ場ダムに到着しました。八ッ場ダムは2020年に完成した重力式コンクリートダムです。高さは116mあります。ダムに水没した地域はまるごとダム湖畔に移転しており、ダムに沈んでしまった旧・川原湯温泉に変わって湖畔にて新しい川原湯温泉が営業しています。公衆温泉浴場もあるため、日帰り入浴することも可能となっています。
放水イベントに備えて満水




緊急放水口の点検を兼ねた放水イベントが実施されるのに合わせてダム湖は満水になっていました。放水イベントが実施されるときには通常時には使われない最も高い位置にある放水口が開かれます。緊急放水はダムが決壊しないようにするための特別な作業となっているため、大雨で特に安全ではない状況でしか見ることが出来ません。放水イベントでは安全を確保したうえで116mもある巨大な滝を見ることができる貴重な機会となっているそうです。




ダム湖は大きいのでちょっと雨が降った程度で水位はかわりそうにありませんが、あと数メートル水位が上がれば溢れてしまうような水位になっていました。これまで何度か八ッ場ダムを訪れたことはありますが、これほどまで高い水位に設定されているのは初めて見たかもしれません。
まるで北海道の青い池



普段よりもずっと高い水位になっているので、普段は草木が生えている斜面も水没していました。水面の色も合わせてまるで北海道美瑛町にある白金・青い池のような景色をみることができます。群馬県にある八ッ場ダムと北海道にある白金・青い池はどちらも人工的に作られた湖という共通点があります。有名度では白金・青い池のほうが大きいのですが、規模は圧倒的に八ッ場ダムのほうが大きいです。
おわりに
今回は吾妻渓谷を通って八ッ場ダムまで散策してみました。国の名勝に指定されている美しい景色が見られる吾妻渓谷と首都圏の洪水を防いでいる八ッ場ダムです。美しい景観を残すということと、安全を確保するということの折衷案のおかげで、自然の美しさと巨大な建造物としての美しさを見ることができます。特に4月~6月にかけては新緑と澄んだ水でとても美しい景色を見ることが出来るのでおすすめです。